活動報告
【令和7年9月】一般質問(詳細)身寄りのない高齢者等へのサポートについて
【質問要旨】
・件名 身寄りのない高齢者等へのサポートについて
・要旨
(1)様々な課題について
(2)国の動きについて
(3)本市の取り組みについて
【質問】
我が国において、急速な高齢化と核家族化の進展に伴い、高齢者の単独世帯の増加が見込まれる中、高齢者においても地域で安心・安全に暮らせるようにすることが重要です。個人個人が抱える多様で複合的な課題や生活上のニーズへの対応を可能にするには、地域社会を構成するさまざまな主体が、それぞれの役割を効果的に発揮できるような体制づくりや制度整備を始めとした取り組みが不可欠です。そのためには身寄りのない高齢者等に対するサポート体制の確立は喫緊の課題と考えます。本市におきましても、健康寿命を伸ばす取り組みをさまざまに行っているものの、依然として平均寿命との乖離があり、その間に、身体や判断能力が低下したときにどのように対応するのかなど生前の心配と、さらには死後の心配が付きまといます。
生前事務については、財産管理や病院の手続きなどがあり、また、死後事務については、死亡の連絡、役所での諸手続き、葬儀や埋葬、各種契約の解除や精算、遺品整理など多くの問題が発生します。
以前、身寄りのない高齢の方から相談を受けました。深刻な病を発症し、今はまだ元気で判断能力はあるが、今後心身ともに徐々に機能が衰えていくことが確実で、そうなる前に入退院の手続きや終末医療に関する自身の意向、また自分の死後、葬儀やお墓などをどうしたらよいかという内容でした。終活支援を行っている民間業者もあるとのことでしたが、安心面・費用面から依頼するにはためらいがあり、公でやってほしいという希望を持っておられました。
色々と調べましたところ、任意後見制度というのがあり、これは認知症や判断能力が不十分になったときに、本人に代わってしてもらいたいことを、あらかじめ備えておく制度だということです。
具体的には判断能力があるうちに、自己の生活、財産管理や介護サービス締結といった療養看護に関する事務の全部または一部を、家族や親類、友人、弁護士や司法書士等の任意後見人と契約を結ぶことになります。しかしながら、相談内容にありました、葬儀や埋葬などの死後事務に関しては任意後見契約の対象外となりますので、別途、死後事務委任契約を結ぶことになります。また、任意後見契約は本人と任意後見受任者の双方が公証役場で公正証書の作成が必要など手続きに煩雑さが付きまといます。
先ほども申し上げましたが、民間において死後事務を含む終活支援を行っている事業者も増えていて、ネットなどでも検索が可能ですが、費用面や安全性、信頼性には注意が必要となります。そのため、高齢者等の終身サポート事業については、契約者とのトラブルを防ぎ適正に事業が営まれるよう、民間業者が提供すべき詳細なサービス内容が記載された「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が昨年6月、国において公表されるに至っております。
一方、地方自治体におきましても、終活サポート事業を支援しているところが増えており、長野市では、「おひとりさまあんしんサポート相談室」が設置され、横浜県横須賀市では、終活支援センターが設置されエンディングプランサポート事業が行われております。また、身寄りのない高齢者等が抱える生活上の課題に対応するためのモデル事業として、枚方市などが「総合的なパッケージ支援」、愛知県豊田市などが「包括的な相談・調整窓口の整備」を行っております。
本市において、第6次総合計画(改訂版)のなかで「高齢者等の孤立死防止、終末期の不安の軽減」を実施方針の一つとして挙げておりますし、単身でかつ高齢の方が多い地域事情を勘案して、早期の政策立案が必要と考えます。
そこで、身寄りのない高齢者等に関して、
本市が把握している、さまざまな課題についてお聞かせください。
また、国において、どのような動きがあるのかお聞かせください。
それから、本市としてどのような取り組みを行ってきたのか、また、今後についてお聞かせください。よろしくお願いします。
【答弁】
(1)様々な課題についてであります。
高齢化の進展により、核家族世帯や単身または高齢者のみの世帯の割合がますます高くなるものと考えております。
中でも、身寄りのない高齢者が抱える課題は多岐にわたり、社会的孤立が深刻な問題であります。
地域とのつながりが希薄な高齢者の場合、孤独死のリスクが高まり、また施設入所や賃貸住宅の契約時に身元保証人がいないことにより、住居の確保が難航している事例もあります。
加えて、認知症などで判断能力が低下した場合には、重要な意思決定を支援する人がいないため、財産管理等が困難となることや、死後の葬儀屋遺品整理等が進みにくい現状にあり、これらの課題解決には、家族等に代わる社会的な支援の仕組みを構築していくことが大変重要であると認識しております。
(2)次に、国の動きについてであります。
身寄りのない高齢者等への対応につきましては、令和6年度に厚生労働省が設置した「地域共生社会の在り方検討会議」において検討が進められており、中間とりまとめが提示されたところであります。
それによりますと、身寄りのない高齢者等への入院・入所の手続や死後事務などの支援策につきましては、現在、全国の社会福祉協議会が実施している日常生活自立支援事業を拡充・発展させた新たな事業を創設することも視野に入れた方向性が提示されております。
(3)最後に、本市の取り組みについてであります。
高齢者が孤立することなく地域で生活するための取り組みとして、「高齢者の見守りに関する協定」を締結し、郵便局、新聞販売店及び宅配業者など市民の日常生活と密接に関わる複数の民間業者が、郵便物や新聞が溜まっているなど、高齢者の異変に気づいた際には、市へ通報する役割を担っていただいております。
また、門真市社会福祉協議会が実施している小地域ネットワーク活動により、身近な地域において、閉じこもりがちな高齢者に外出の機会や地域住民との交流の場を提供するとともに、高齢者の相談窓口である地域包括支援センターが民生委員やケアマネジャーと連携した定期的な安否確認や訪問支援を行うことにより、単身高齢者等の孤立・孤独を防止するための支援を行っております。
身寄りのない高齢者等への支援の在り方につきましては、今後も国において議論が継続されるため、引き続き動向を注視してまいります。
【要望】
先日9月8日に行われた、厚生労働省の社会保障審議会(福祉部会)で、身寄りのない高齢者を支援する新たな事業の導入に向けて、具体案が初めて示されたとの報道を目にしました。それによりますと、身寄りのない高齢者等の生前事務や死後事務を地域の支援機関が担うとしています。支援を行う団体などは、社会福祉協議会やNPO法人など民間にも広げるとのことでした。この方向性ですと、身寄りのない高齢者等へのサポート事業は、本市との直接的な関りが薄くなる可能性もあります。しかしながら、高齢者への支援体制の充実は、今後ますます重要になると考えます。国や府、関係機関との連携をさらに深めて高齢者福祉の充実に努めていただきたいと要望します。