活動報告
委員会質問(詳細)103万円の壁について
「103万円の壁」について
【問1】
現在、国において所得税の課税限度額いわゆる「103万円の壁」を上げるという議論がされております。11月29日の石破茂首相の所信表明演説の中で、令和7年度の税制改革の中で議論し引き上げると明言されました。また、先の衆議院総選挙では、課税限度額を103万円から178万円に引き上げることを公約に掲げた政党が大きく躍進したことを鑑みても、国民・市民の皆さまが非常に関心を寄せていることが伺えます。この178万円は、1995年から現在までの約30年間で最低賃金が611円から1,055円へ1.73倍上昇していることから、103万円に1.73をかけた金額を根拠にしているそうです。
私は個人的には、減税となるこの案に対しては、基本的に賛成の立場です。減税や働き控えを減らし手元に残るお金(可処分所得)が増えることで、その分を消費に回していただき、経済の活性化を図ることも理解できます。
しかしながら、壁の引き上げに関しては、国の試算において、地方で4兆円、国で3~4兆円の減収となるとの数字が焦点となり、地方からは財政悪化の原因につながるとして、慎重な意見が多く出ております。
まず、一つ目の質問ですが、所得税と住民税(本市では市民税ですが)は、国税と地方税でそもそも異なるものと認識していますが、所得税の課税限度が上がることによる、市民税への影響をお聞かせください。
【答1】
所得税の課税限度額か上がることによる市民税への影響ですが、所得税の基礎控除額が75万円上がるのと同様に、住民税の基礎控除額も75万円上がると仮定した場合、その他の条件を現行制度かつ6年度ベースで試算いたしますと、市民税については約20億円の減収となる見込みです。
【問2】
市民税の基礎控除額が所得税と同額上がったという条件付きですが、本市の市民税は約20億円の減収となるとの答弁がありましたが、この減収分は普通交付税の算定基準となる、基準財政収入額の算定基準となると認識しております。市民税の減収による普通交付税への影響、および市財政への影響と見解をお聞かせください。
【答2】
普通交付税の影響といたしましては、市民税の減収額のうち75%(15億円)が基準財政収入額から減少するため、普通交付税の増加要因となります。
また、市財政への影響といたしましては、市民税の減収額のうち25%(5億円)については実質的な減収となり、現在、国等において議論されておりますが、何ら財源措置がなされない場合には、市の負担になるものと認識しております。
本市といたしましても、予算編成作業が進む中で、その状況を十分に中止し、市民サービスの維持・向上に向け、必要な措置が講じられるよう、国に要望してまいります
【要望】
減収分のうち15億円は交付税で措置されるということですが、国において、地方交付税の財源の一つが所得税です。その財源が減るにもかかわらず、地方からは交付税の要求額は上がる、一体どこで埋め合わせするのでしょうか。結局は、別にところにしわ寄せ、つまり増税が行われて、市民負担の増加にならないか懸念しております。
また、本市におきましては、市民税が5億円の減収となります。ただでさえ厳しい財政状況なかで大きな額です。医療や介護、教育、福祉といった市民サービス、街づくり等へ悪影響が及ばないようにしていただきたいと思います。